
「行政書士の補助者って、どんな仕事をするの?」「資格がなくても働けるの?」「試験に合格したけれど、まずは実務を積みたい」——行政書士事務所への就職・転職を考えている方から、よくいただく質問です。この記事では、福島市で建設業許可・経営事項審査(経審)・入札参加資格・産業廃棄物処理業許可を専門に扱う行政書士法人近藤事務所が、弊所の組織の中での補助者の位置づけ、できること・できないこと、1件の仕事の流れ、デジタルとAIの活用、向いている人までを、実際の業務に沿ってご紹介します。
この記事の要点
- 行政書士補助者とは、行政書士の指揮命令・監督のもとで、許認可申請などの業務に関する事務を補助する社員です。
- 行政書士の資格は不要です。事務所が所属する行政書士会に補助者として届け出ます。試験合格者が、補助者として実務を積むこともできます。
- 弊所の補助者は、試験合格者の補助者・資格を持たない補助者・業務支援スタッフの3つの立場で、建設業許可・経審・入札・産廃許可の業務を支えています。
- パソコンとクラウドツールを使うことは大前提です。いまはAIを業務に生かす取り組みも進めています。
目次
1. 行政書士補助者とは
行政書士補助者(以下「補助者」)とは、行政書士の業務を補助するために事務所に置かれる社員です。日本行政書士会連合会の「行政書士会補助者規則(準則)」では、行政書士法第19条の3に定める「使用人その他の従業者」のうち、行政書士の指揮命令を受けて、業務に関する事務を補助する者と定義されています。
補助者になるために、行政書士の資格や試験合格は必要ありません。採用した事務所(行政書士)が、所属する行政書士会に補助者を置いた旨を届け出ます。準則では、満18歳に達していない方や臨時に使用する方は補助者にできないことなどが定められています。届出の期限や補助者証の取扱いは、各都道府県の行政書士会の規則によります。
一般事務スタッフとの違い
電話応対や来客対応、郵便の発送などの一般事務は、どの会社にもある仕事です。補助者はそれに加えて、許認可申請という行政書士の専門業務そのものに、行政書士の監督のもとで関わる点が大きく違います。お客様の決算書を読み、申請に必要な数字を拾い、役所の手引きに沿って書類を整える。法律と実務の両方に触れる仕事です。
2. 近藤事務所の組織と、補助者の3つの立場
弊所は、所長を含めて12名の行政書士法人です(2026年7月現在)。社員は、行政書士会への登録や資格の有無によって、次の5つに分かれています。このうち、この記事でご紹介するのは色のついた3つの「補助者」です。
法人の役員
社員行政書士(代表・所長 近藤博)
使用人(正社員)・行政書士会に登録
使用人行政書士(1名)
▼ 行政書士の指揮命令・監督のもとで業務を補助 ▼
補助者 ①
試験に合格した補助者(1名)
補助者 ②
資格を持たない補助者
補助者 ③(補助者登録あり)
業務支援スタッフ(パート)
※行政書士法人で「社員」というと、法律上は出資者であり役員にあたる行政書士(社員行政書士)を指します。この記事では、わかりやすさのため、従業員の方も「社員」と呼んでいます。
① 試験に合格した補助者
行政書士試験に合格していても、行政書士会に登録するまでは、行政書士として業務を行うことはできません。弊所には、試験に合格した方が補助者として実務を積んでいる例があります。合格で身につけた法律の知識を、建設業許可や経審の実際の案件で生かしながら、将来の登録に向けて経験を重ねる立場です。
② 資格を持たない補助者
行政書士の資格を持たずに入社し、補助者として許認可の実務を担う社員です。弊所の補助者の中心はこの立場です。書類の収集・作成、電子申請、お客様とのやり取りまで、案件を担当者として受け持ちます。入社後に登録建設業経理士や日商簿記を取得した社員も多く、行政書士試験に挑戦することもできます。
③ 業務支援スタッフ(パート)
補助者として登録したうえで、行政書士や①②の補助者をサポートするパートの社員です。書類の整理・スキャン・発送、データの入力、証明書類の取得の準備に加えて、事務所の会計処理もお願いしています。正社員が専門業務に集中できるよう、バックオフィスを支える大切な役割です。短い時間でも、許認可の仕事に関われる働き方です。
3. 補助者にできること・できないこと
どの立場の補助者も、仕事は「行政書士の指揮命令・監督のもとで」行うことが前提です。試験に合格した補助者も同じです。主な線引きは次のとおりです。
| できること(行政書士の監督のもと) | できないこと |
|---|---|
| 申請書類の作成補助(下書き・入力) | 自分の名前でお客様から依頼を受けること |
| 必要書類の案内・収集、証明書類の取得 | 行政書士の指揮監督を離れて、自分の判断だけで書類を作成・提出すること |
| 役所への書類の提出・電子申請の操作、補正の連絡対応 | 許可の可否など、行政書士が行うべき判断を独断で伝えること |
| 期限管理・お客様への進捗のご連絡 | 事務所を離れて、個人として報酬を得て書類を作成すること |
2026年(令和8年)1月1日に施行された改正行政書士法では、行政書士・行政書士法人でない者が、名目を問わず報酬を得て官公署に提出する書類を作成することが禁止される旨が条文上明確になり、違反した場合に法人も罰せられる両罰規定が整備されました。補助者の仕事は、あくまで事務所の業務として、行政書士の監督のもとで行うものです。弊所では、行政書士が業務全体を監督し、事務所として責任をもって申請します。
4. 補助者が担当する業務
弊所は建設業・廃棄物処理業に特化した行政書士法人で、売上の約9割を両分野の業務が占めています。2025年の受任件数は685件、事業承継後16年間(2010〜2025年)の累計は8,945件です。決算変更届は年間240件を提出しています。補助者が担当する主な業務は次のとおりです。
建設業許可・決算変更届
新規・更新・業種追加・般特新規の書類作成補助、毎年の決算変更届(事業年度終了後4か月以内)、各種変更届の準備。
経営状況分析・経審
決算書の数字の整理、技術職員名簿や工事経歴書の作成補助、経審の申請準備。
入札参加資格審査申請
福島県・県内市町村・国の機関などの受付時期の確認、申請書類の準備と電子申請。
廃棄物処理業許可
産業廃棄物収集運搬業などの新規・更新・変更の書類作成補助。福島県のほか近県の申請もあります。
CCUS・電子申請
建設キャリアアップシステム(CCUS)の代行登録、JCIP(建設業許可・経審の電子申請)、GビズIDの取得代行。
法人設立・議事録・期限管理
法人設立や議事録作成の補助。許可の更新・決算変更届の期限を管理し、期限前に早めにご案内します。
5. 1件の仕事の流れ(フローチャート)
建設業許可の申請を例に、ご相談から納品・その後の期限管理までの流れをまとめました。弊所では、行政書士と補助者が役割分担しながら、一つひとつの案件を進めています。どの工程を誰が担当するかは、案件の内容や担当者の経験に応じて決めています。

- お問い合わせ・初回面談:ホームページや電話でのご相談を受け、行政書士と補助者が、日程調整や資料のご案内、面談(ご来所・WEB面談)を役割分担して対応しています。
- ヒアリング・要件確認:経営業務の管理責任者や営業所技術者、財産的基礎などの要件を、行政書士と補助者で確認します。うかがった内容は顧客管理システムに記録します。
- お見積り・ご依頼:お見積りと手続きの見通しをご説明し、ご依頼をお受けします。補助者がお客様に直接ご説明する場面も多くあります。
- 書類の案内・収集:補助者が必要書類の一覧をお送りし、Chatwork・Box・郵送などで書類をお預かりします。業務支援スタッフが書類の整理や証明書類の取得の準備を手伝います。
- 申請書類の作成:補助者が手引きに沿って申請書類を作成します。決算書の数字や工事経歴、技術者の資格・実務経験を一つずつ確かめます。
- 確認・修正:提出前に書類の内容を見直し、不足や誤りがあれば修正します。どの工程も、行政書士の監督のもとで進めます。
- 申請(郵送・JCIP・窓口):郵送、電子申請(JCIP)または窓口で申請します。役所からの補正の連絡にも対応します。
- 許可・納品:許可通知書や控えを、データまたは郵送でお客様にお届けします。
- 期限管理(次の手続きへ):毎年の決算変更届、5年ごとの更新、経審・入札の時期を管理し、期限前に早めにご案内します。許可を取った後も、お客様とのお付き合いが続きます。
一つの案件は、原則として1人の担当者がご相談から納品まで一貫して担当します。担当者が不在のときは他の社員が対応し、難しい案件は事務所全体で解決にあたります。
6. クラウドとAIを使いこなす補助者へ
弊所は「デジタル×法務」でお客様のバックオフィスを効率化し、成長を伴走支援することを使命にしています。そのため、パソコンとクラウドツールを使うことは大前提です。弊所では、Salesforce(顧客管理)、freee会計、Chatwork、Google Chat、Google Workspace、クラウドストレージのBoxなどを組み合わせて、受付から書類の授受、申請、請求・会計まで、バックオフィス業務をフェーズごとにデジタルで行えるようにしています。お客様とのやり取りはChatworkやWEB面談(Google Meet)、書類の授受はBoxを使います。申請は郵送がまだ中心ですが、電子申請(JCIP)も増えてきています。面談でうかがった内容はSalesforceに記録し、月1回の営業会議で所内に共有しています。
いまはさらに、AIを業務に生かす取り組みを進めています。たとえば、申請書類を自動で作る仕組みづくりや、お客様にご提案する資料をわかりやすくまとめる作業にAIを使っています。AIは便利な道具ですが、最後に内容を確かめ、責任をもつのは人です。弊所では、AIで作ったものも必ず社員が内容を確かめてから使っています。
手作業で時間がかかっていた部分を道具に任せ、その分をお客様のお話をうかがう時間や、書類の正確さを高める時間に回す。それが、これからの補助者の働き方だと考えています。
7. 補助者に求められる力・向いている人
求められる力
- 正確さ:1つの数字や日付の誤りが、補正や許可の遅れにつながります。確認を苦にしない丁寧さが大切です。
- 期限を守る段取り力:多くの案件を並行して進めるため、締切から逆算して動く力が求められます。
- わかりやすく伝える力:お客様は建設会社の社長や経理・総務のご担当者です。専門用語をかみ砕いてご案内します。
- 新しい道具を試す姿勢:クラウドやAIの使い方は、所内で教え合いながら覚えていきます。完璧である必要はありませんが、まず使ってみる前向きさが大切です。
- 数字に触れることへの抵抗のなさ:決算書を扱う場面が多くあります。簿記の知識は、入社後に身につけていただければ大丈夫です。
こんな方に向いています
- コツコツと書類を仕上げることにやりがいを感じる方
- 地元・福島の建設会社を支える仕事がしたい方
- 行政書士試験に合格し、まずは実務を身につけたい方
- 行政書士や建設業経理士などの資格に挑戦したい方
- AIなどの新しい技術を、仕事の効率化に生かしてみたい方
弊所では、能力よりも経営計画書に書かれた価値観を共有できるかどうかを大切にしています。未経験の方や第二新卒の方も歓迎しています。
8. 近藤事務所で働くということ
所長も「補助者」から始めました
所長の近藤博は、2002年に前身の事務所へ補助者として入社しました。8年間実務を積みながら2009年に行政書士試験に合格し、2010年に事務所を承継しています。補助者の仕事の大変さも面白さも、身をもって知っています。承継した当時3名だった補助者は、現在11名(所長を除く)になりました。
社員の構成(2026年7月現在)
- 所長を含めて12名(男性4名・女性8名)。平均年齢は40歳です。
- 資格者:社員行政書士1名、登録行政書士1名、行政書士試験合格者1名、登録建設業経理士2級4名、日商簿記2級2名、ITパスポート1名、銀行融資診断士(中級)1名
- 女性社員は全員が子育て中です。男性社員の育児休業の取得実績もあります。
成長と働きやすさを支える仕組み
- 等級制度:ジュニア職・スタッフ職・リーダー職・管理職と、役割と求められる成果を明確にしています。
- 資格取得の応援:行政書士、建設業経理士、日商簿記、ITパスポートなどの資格手当・合格報奨金の制度があります。
- 所内勉強会・評価面談:勉強会での学びを共有し、上司との評価面談で成長を確認します。
- 休みやすさ:年間休日は120日、有給休暇の平均取得率は73%です。
- 認証:福島市働く女性応援認証企業、福島県次世代育成支援企業認証、女性活躍認定マークを取得しています。
9. 個人事務所と行政書士法人の違い(就職前に確認したいこと)
行政書士事務所には、大きく分けて「個人事務所」と「行政書士法人」の2つの形があります。どちらで働くかによって、役員や社員(従業員)の身分が異なり、社会保険や就業規則といった福利厚生も違ってきます。
| 個人事務所 | 行政書士法人 | |
|---|---|---|
| 組織の形 | 行政書士本人が個人事業主として営む事務所 | 行政書士法に基づいて設立される法人。出資者である社員(行政書士)が役員として経営を担う、会社法でいう合同会社などの持分会社に近い組織形態 |
| 健康保険・厚生年金 | 常時5人以上の従業員がいる事務所は加入義務あり(2022年10月から士業も対象)。5人未満の事務所は扱いが異なることがあります。代表者本人は国民健康保険・国民年金に加入します | 従業員の人数にかかわらず加入義務あり。報酬を受ける法人の社員(いわゆる役員)も加入します |
| 就業規則 | 個人事務所か法人かにかかわらず、常時10人以上の労働者を使用する事業場には作成・届出の義務があります。10人未満の事務所には作成義務がないため、法律家の事務所でも就業規則を定めていない場合があります | |
弊所は行政書士法人で、10人以上の社員が働いているため、就業規則を作成し、社会保険にも加入しています。行政書士事務所への就職・転職を考える際は、社会保険の加入、就業規則の有無、休日や手当などの福利厚生を、事前によく確認することをおすすめします。面接や見学の場で遠慮なく質問してよい内容です。
10. よくあるご質問
Q. 行政書士補助者になるのに資格は必要ですか?
A. 必要ありません。事務所が所属する行政書士会に補助者として届け出ることで、行政書士の指揮命令・監督のもとで業務に関する事務を補助できます。
Q. 行政書士試験に合格した人が、補助者として働くことはできますか?
A. できます。行政書士会に登録するまでは行政書士として業務を行えないため、補助者として実務を積むことができます。弊所にも、試験に合格した補助者がいます。
Q. 補助者は一人で申請書類を作ってお客様に渡せますか?
A. できません。補助者の仕事は、行政書士の監督のもとで事務所の業務として行い、事務所の責任で申請します。補助者が自分の名前で依頼を受けることもできません。
Q. 未経験でも働けますか?
A. はい。手引きの読み方や書類の作り方は、先輩社員が実際の案件を通じてお伝えします。建設業の知識がなくても始められます。
Q. パートでも許認可の仕事に関われますか?
A. はい。弊所の業務支援スタッフ(パート)は補助者として登録し、行政書士や補助者をサポートする仕事を担当しています。
Q. AIを使った仕事には、どのように関わりますか?
A. 書類の作成や資料づくりでAIを活用する取り組みを、所内で進めています。使い方は社員同士で教え合います。AIで作ったものは、必ず社員が内容を確かめてから使います。
Q. 個人の行政書士事務所と行政書士法人では、働き方に違いがありますか?
A. 社員(従業員)の身分や福利厚生が違うことがあります。法人は健康保険・厚生年金への加入義務がありますが、個人事務所は従業員が5人未満だと扱いが異なることがあります。就業規則も常時10人以上で作成義務が生じるため、就職前に確認することをおすすめします。
Q. 事務所見学はできますか?
A. はい。実際の職場の様子をご覧いただけるよう、事務所見学やカジュアル面談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
行政書士補助者は、資格がなくても許認可申請の専門業務に関わることができる仕事です。弊所では、試験に合格した補助者、資格を持たない補助者、業務支援スタッフが、それぞれの立場で行政書士を支えています。クラウドとAIを使いこなしながら、書類の収集・作成、電子申請、期限管理を担い、お客様の事業が止まらないよう支える。福島の建設会社の「許可を取った後も続く手続き」を一緒に支えてくださる方を、弊所はお待ちしています。
事務所見学・カジュアル面談を受け付けています
補助者の仕事に興味をお持ちの方は、お電話またはお問い合わせフォームからご連絡ください。
TEL 024-529-7571
受付 9:00〜17:00(土日祝休)
行政書士法人近藤事務所 〒960-8163 福島県福島市方木田字前白家5-1
事務所紹介はこちら
参考(2026年11月4日確認)
- 日本行政書士会連合会「行政書士会補助者規則(準則)」
- 衆議院「行政書士法の一部を改正する法律案要綱」(令和8年1月1日施行)
- 日本年金機構「士業の個人事業所における厚生年金保険・健康保険の適用」(令和4年10月施行)
- 労働基準法第89条(就業規則の作成及び届出の義務)
- 行政書士法人近藤事務所「事務所紹介」(社員数・資格者・実績の数値)






