
鉄くず・銅線・アルミ・廃プラスチックなど、使い終わって集められた金属やプラスチックを「売るために屋外で保管する」場合、福島県では条例による許可が必要になっています。さらに国でも、廃棄物処理法の改正により全国一律の許可制度が新設される予定です。
解体工事や設備工事を手がける建設業の方にも関わりうる内容ですので、福島県の条例と国の新制度のポイントを、一次情報にもとづいて整理します。
この記事の結論
- 福島県では、使用済みの金属・プラスチック(特定再生資源物)を取引のために屋外保管する場合、敷地面積100㎡超の屋外保管事業場には県の許可が必要です(令和7年1月1日施行)。
- 以前からある事業場向けの届出による「みなし許可」は令和7年12月31日で終了しています。届出をしていない場合は現在無許可の状態となるため、新たに設置許可を取る必要があります。
- 国でも令和8年6月19日に改正廃棄物処理法が公布され、使用済金属・プラスチック物品の「保管」「再生」を行う事業の許可制度が新設されます(令和10年12月19日より前に施行予定。詳細基準は検討中)。
- 「うちは対象になるのか」の判断が第一歩です。迷ったら、事業場を管轄する地方振興局か専門家に早めにご相談ください。
1.なぜ規制ができたのか
再生利用のために集められた金属やプラスチックは、価値のある「有価物」として取引されるため、これまで廃棄物処理法の規制対象外でした。一方で、高く積み上げた保管物の崩落、火災、騒音・振動、汚水や油の流出といった問題が各地で起きていました。
環境省が令和7年度に行った調査では、全国4,625のスクラップヤード事業場のうち、騒音・悪臭・水質や土壌の汚染・火災などの問題が計275件確認されています。こうした状況を受け、福島県を含む各地の自治体で条例が制定され、国も法律による許可制度の創設に踏み切りました。
2.福島県の条例(施行済み)のポイント
正式名称は「福島県特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」です。令和7年1月1日に施行されています。
(1)対象となる物と事業者
| 特定再生資源物 | 使用を終了し、収集された物のうち、 ・金属または金属の混合物 ・プラスチックまたはプラスチックの混合物 (分解・破砕・圧縮などの処理をしたものを含み、廃棄物は除く) |
|---|---|
| 対象となる事業者 | 業として特定再生資源物の取引を行うため、屋外で保管する事業者 ※国・自治体、港湾法上の保管施設、他法令の許可を持つ廃棄物処理業者などが許可取得済みの事業場で行う場合などは適用除外(詳細は施行規則) |
| 許可が必要な事業場 | 敷地面積が100㎡を超える屋外保管事業場(設置前に許可が必要。許可後は使用前検査も必要) |
(2)守るべき保管基準
- 外部から保管状況が確認できる囲い、保管物を表示した掲示板の設置(100㎡超の事業場)
- 保管物の荷重がかかる囲いは構造耐力上安全であること
- 保管の高さは5m以下
- 汚水・油分が出るおそれがあれば、床面の不浸透化、油水分離装置・排水溝などの設置
- 騒音・振動の抑制、他の物と混ぜずに区分して保管(火災・延焼防止)
- ねずみ・害虫の発生防止
(3)経過措置は終了しています
令和7年1月1日より前から事業場を設置していた場合、令和7年12月31日までに届出をすれば「みなし許可」を受けられる経過措置がありました。この経過措置はすでに終了しています。
届出をしておらず、みなし許可を受けていない事業場は、令和8年1月1日以降は無許可の状態です。保管を続けるには、あらためて設置許可を取得する必要があります。無許可での設置や、県の命令に従わない場合などには、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される場合があります。
(4)許可を取った後の手続きにも注意
許可取得後も、状況に応じて次のような手続きが必要です。
- 場所・品目の変更、面積・保管量・高さの増加 → 事前の変更許可(その後、使用前検査)
- 氏名・住所、役員・現場責任者等の変更、面積等の減少、休止・廃止など → 30日以内に届出
- 事業場の譲受け・借受け → 事前の許可
- 法人の合併・分割 → 認可申請/個人からの相続 → 30日以内に届出
※申請には県の手数料(収入証紙)がかかります。金額は県の手引きでご確認いただくか、お見積りの際にご案内します。
3.国の新しい許可制度(改正廃棄物処理法)
令和8年6月19日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。これまで規制の外にあった有価物のスクラップについて、全国統一のルールが設けられます。
| 対象物 | 使用を終了し収集された物品で、全部または一部が金属・プラスチックから成るもの(「使用済金属・プラスチック物品」。廃棄物などは除く)のうち、適正な保管・再生が必要なもの 例:雑品スクラップ(使用済家電・基板等)、金属スクラップ、使用済プラスチック |
|---|---|
| 許可が必要な事業 | ・保管(譲渡のためのもの) ・再生(切断、圧縮、破砕、選別、洗浄など。再生のための保管を含む) → 都道府県知事の許可(指定都市・中核市へ権限移管予定) |
| 主な許可基準(予定) | 経理的基礎、施設が保管・再生の基準に適合していること、事業を的確・継続して行う能力、欠格要件に該当しないことなど(詳細は政省令で規定) |
| 許可が不要とされる者 | ・敷地面積が政令で定める面積以下の事業者 ・国、自治体など ・製鉄・精錬など完成品の製造工程の一部として再生を行う者 ※廃棄物処理業者や各種リサイクル法の許認可事業者などは、許可を受けたものとみなされる仕組みも設けられます(基準の遵守は同様に必要) |
| 許可業者の義務 | 保管・再生の基準の遵守、帳簿の作成など |
| 罰則 | 無許可営業などは最大5年の拘禁刑・1,000万円以下の罰金(併科あり)、法人は最大3億円の罰金 |
| スケジュール | ・令和8年度内を目途に政省令を整備 ・施行前に、準備の整った都道府県から許可申請の受付・審査を開始 ・公布日から2年6か月以内(令和10年12月19日より前)の政令で定める日に施行 |
なお、家電4品目・小型家電28品目を対象とした現行の「有害使用済機器保管等届出制度」は廃止され、対象者は新しい許可制度へ移行します。また、使用済鉛蓄電池や電子スクラップなど環境汚染のおそれがある物品については、国内再生を原則とし、輸出には環境大臣の確認が必要になります。
保管物の高さ制限、囲い、火災・延焼防止、汚水流出防止などの具体的な数値基準は、環境省の検討会で関係業界の意見を聴きながら検討が進められている段階です。
県条例と国の制度の関係は?
国の制度が施行された後、福島県の条例による許可との関係(手続きの一本化や経過措置など)がどう整理されるかは、本記事作成時点では公表されていません(要確認)。県条例の許可は現在すでに必要ですので、「国の制度を待つ」のではなく、まず県条例への対応を済ませておくことをおすすめします。新しい情報が出ましたら、本ブログでお知らせします。
4.建設業の方は、ここを確認してください
スクラップヤード専業でなくても、次のような場合は対象になる可能性があります。
- 資材置場や敷地内で、鉄くず・銅線・アルミなどを売却するためにまとめて屋外保管している
- 解体・撤去で出た金属やプラスチックを、買い取りに出すまでヤードに置いている
- 屋外保管している敷地の面積が100㎡を超える
- 取引先から使用済みの金属・プラスチックを買い取り、屋外で保管して転売している
一方で、工事に伴って出たものは、元請業者が排出事業者となる産業廃棄物として扱うべき場合も多くあります。有価物か廃棄物かは、物の性状、取引の実態(売却価格や運搬費の負担)などを総合的に見て判断されるため、自己判断は禁物です。扱いを誤ると、条例だけでなく廃棄物処理法上の問題にもつながりかねません。
「該当するかどうかわからない」という段階でも、早めに確認しておくことが、会社を守ることにつながります。
5.弊所がお手伝いできること
行政書士法人近藤事務所は、建設業許可・経審・入札とあわせて、産業廃棄物処理業許可の申請もお手伝いしています。建設業と廃棄物の両方の手続きを見られる立場から、次のようなご支援をいたします。
- 現在の保管状況をうかがい、条例・国の制度の対象になるかの整理
- 県条例の設置許可申請・変更許可・各種届出の書類作成と代理申請
- 産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可との関係整理(どちらの手続きが必要か)
- 許可取得後の変更届・期限の管理(届出漏れを防ぐ仕組みづくり)
- 国の新制度の政省令・基準が公表され次第、対象となるお客様への情報提供
期待を持たせるだけのことは申し上げません。対象にならないものは「不要です」と、許可が難しい状況であれば何を改善すべきかを、ハッキリお伝えします。
スクラップヤード規制・産廃許可のご相談は初回無料です
ご来所のほか、WEB面談にも対応しています。
「うちは対象?」という段階からお気軽にどうぞ。
TEL 024-529-7571(平日9:00〜17:00)/メールは24時間受付
参考資料(確認日:令和8年10月29日)
- 福島県「金属やプラスチックなど特定再生資源物の屋外保管を規制する条例が施行されました」
- 福島県「福島県特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例の手続きについて」
- 環境省 環境再生・資源循環局 廃棄物規制担当参事官室「これまでの検討経緯」(令和8年7月27日 資料2)
※本記事は上記確認日時点の情報にもとづいています。具体的な手続きや該当性は、事業場を管轄する地方振興局(県民環境部環境課ほか)にもご確認ください。






