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【2026年7月1日~】経営事項審査の様式が変わります|自主宣言制度が新たに加点項目へ

【令和8年7月1日~】経営事項審査の様式が変わります|自主宣言制度が新たに加点項目へ
投稿日:2026/09/20

福島県土木部建設産業室から、「経営事項審査申請の手引」の令和8年6月版が公開されました。建設業法施行規則等の一部改正に伴うもので、令和8年7月1日以降に提出する申請から、審査項目・提出様式・結果通知書の内容が変わります

今回の改正は「様式の体裁が少し変わった」というレベルではありません。加点項目そのものが1つ消え、1つ増えています。とくに新設された「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は、審査基準日(決算日)より前に宣言していなければ、その期は加点を受けられません。決算を迎えてから気づいても手遅れになる項目です。

この記事では、福島県内の経営事項審査を専門に扱う行政書士の視点から、令和8年6月版の改正点を実務目線で整理します。

まず押さえるべきこと:旧様式では受け付けてもらえません

福島県からは、次のとおり案内されています。

令和8年7月1日以降に提出される申請から審査項目の変更に伴い提出様式及び結果通知書の内容が変更となります。旧様式での申請は受け付けることができませんのでご注意願います。

ポイントは、基準が「審査基準日」ではなく「提出日」だという点です。決算日が令和8年3月31日であっても、申請書を提出するのが令和8年7月1日以降であれば、新様式を使うことになります。

手元にダウンロード済みのエクセル様式を保管している会社は、必ず差し替えてください。前年の申請データを流用している場合はとくに注意が必要です。最新の手引き・様式は福島県のホームページから入手できます。

改正点は大きく3つ

  1. 社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)加入の有無の削除
  2. 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無の追加(様式第7号)
  3. 建設機械の保有状況に「アスファルト・フィニッシャ」及び「不整地運搬車」の追加(別表1)

いずれも社会性等(W点)に関する項目です。順に見ていきます。

【改正点1】社会保険加入の有無が審査項目から削除されます

これまで社会性等(W点)の評価項目に含まれていた「雇用保険加入の有無」「健康保険及び厚生年金保険加入の有無」が、審査項目から削除されました。令和8年6月版の手引きの審査項目一覧を見ると、社会性等(W)の担い手の育成・確保に関する取組の中に、これらの項目はもう記載されていません。

なぜ削除されたのか

社会保険の適正加入は、平成28年以降の一連の制度改正で建設業許可そのものの要件として位置づけられました。許可を持っている以上は加入していることが前提になったため、経営事項審査で改めて加点・減点の対象として評価する意味が薄れた、という整理です。

実務にどう効くか

加点項目としてではなく、提出書類が減るという点で効いてきます。従来、社会保険加入の確認のために提出していた書類(保険料の領収済通知書や納入証明書など)は不要になります。

ただし、社会保険関係の書類が一切いらなくなるわけではありません。技術職員名簿に載せる職員の「6か月を超える恒常的雇用」を確認するために、事務所の名称が記載された雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、所属企業の雇用証明書、有効期限前の健康保険証、社会保険被保険者標準報酬月額決定通知書といった書類は、引き続き必要です。ここは混同しやすいところですので注意してください。

要注意:「経審で社会保険が見られなくなった=未加入でも問題ない」ということではありません。社会保険の未加入は許可の要件を欠くことになり、経審以前に許可自体が問題になります。むしろ位置づけが重くなったとお考えください。

【改正点2】「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」が加点項目に加わります

今回の改正で、実務上いちばん影響が大きいのがこの項目です。社会性等(W点)の「建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況」に、新たに次の項目が追加されました。

(カ)建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無
審査基準日時点での建設技能者を大切にする企業の自主宣言の有無を審査します。

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は、国土交通省が運用している制度で、技能者の処遇改善に関する取組を企業が自ら宣言し、専用サイト上で公表するものです。制度の詳細や宣言の手続きは、国土交通省のホームページで確認してください。

加点を受けるための3つの条件

手引きの記載を整理すると、加点を受けるには次の3つがすべて必要です。

  1. 自主宣言制度において宣言を行っていること
  2. 審査基準日が宣言日以降であること
  3. 様式第7号の誓約書と、宣言していることを証する書面の写しを提出すること

提出書類については、手引きに次のとおり記載されています。

様式第7号の「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度に関する誓約書」の提出/「自主宣言制度において宣言していることを証する書面の写し」
※自主宣言制度ホームページにおける各宣言企業の詳細ページのうち「宣言内容」をダウンロードすることで取得可能。

ここが最大の落とし穴:宣言は「決算日より前」に済ませる必要があります

審査基準日が宣言日以降であることが必要です。

つまり、決算日を過ぎてから宣言しても、その期の経審では加点されません。3月31日決算の会社が5月に宣言した場合、加点対象になるのは翌期(次の審査基準日)の経審からということになります。

経営事項審査の加点項目には、「決算後に慌てても間に合わないもの」がいくつかあります。建退共や法定外労災補償への加入、防災協定の締結などがその代表例で、今回の自主宣言制度もこのグループに入りました。

宣言自体は費用のかかる手続きではありません。入札参加を継続する予定の会社であれば、内容を確認したうえで、次の決算日を迎える前に宣言を済ませておくのが基本方針になります。「経審の点数が1点でも欲しい」という会社にとっては、比較的取り組みやすい項目です。

様式第7号は「申請区分」の選択に注意

様式第7号の誓約書には、申請区分としてAかBを記入する欄があります。

あわせて、審査基準日と、自主宣言制度で設定している取組開始日を記入します。手引きの記載要領には、次の趣旨の注意書きが明記されています。

取組開始日の到来後、当該自主宣言の取り組みを行っていない場合は、虚偽申請として建設業法に違反するおそれがあるため留意すること。(Aを選択した場合)

当該自主宣言の取り組みを行っていないにもかかわらず本誓約書を提出した場合は、虚偽申請として建設業法に違反するおそれがあるため留意すること。(Bを選択した場合)

誓約書には、国土交通大臣・都道府県知事および一般財団法人建設業振興基金との情報共有への同意と、調査への協力に同意する旨も記載されています。「点数のためにとりあえず宣言だけしておく」という運用は、後の調査で問題になりかねません。宣言した内容は社内で実行できる範囲にとどめ、実際に取り組む体制をつくったうえで宣言してください。

【改正点3】建設機械の保有状況に2機種が追加されます

社会性等(W点)の「建設機械の保有状況」について、評価対象となる機械に「アスファルト・フィニッシャ」と「不整地運搬車」が追加されました。

追加された2機種の範囲

建設機械の名称 範囲
アスファルト・フィニッシャ 自動車検査証の車体の形状欄に「アスファルト・フィニッシャ」と記載されている大型特殊自動車が該当
不整地運搬車 不整地運搬車構造規格を満たすもの(労働安全衛生法施行令)が該当

これにより、評価対象となる建設機械は、ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダー、ダンプ車、移動式クレーン、高所作業車、締固め用機械、解体用機械に、上記2機種を加えたラインナップになりました。保有台数に応じて加点評価が行われ、手引きによれば最高15点です。

舗装業者・土木業者は棚卸しを

これまで加点対象外だった手持ちの機械が、今回の改正で得点に変わる可能性があります。とくに次のような会社は、令和8年7月1日以降の申請に向けて、保有機械を一度洗い出しておく価値があります。

建設機械の保有状況は、1台からでも加点対象です。別表1(建設機械の保有状況一覧表)を提出していない会社は、まず現物の確認から始めてください。

リースでも加点対象になります

建設機械のリースが増えている実態を踏まえ、一定のリース契約も所有と同様に取り扱われます。ただし条件があります。

リースの条件:審査基準日から将来にわたって1年7か月以上の使用期間があり、実質的に保有と同視しうるリース契約を締結している場合に限られます。審査基準日以前に1年7か月以上の使用期間があったとしても、加点の対象にはなりません。

リース契約書の残存期間を、審査基準日を起点に数えてください。「長く借りているから大丈夫」ではなく、「これから1年7か月以上残っているか」が判断基準です。

確認書類も忘れずに

特定自主検査が必要な機種(ショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベル、モーターグレーダー、高所作業車、締固め用機械、解体用機械)については、審査基準日の直前1年以内に検査を受けたものを提示する必要があります。検査の期限切れで加点を落とすケースは実際にありますので、決算日前に検査時期を確認しておいてください。

結果通知書の内容も変わります

審査項目の変更に伴い、経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の内容も変更されます。社会保険加入の有無の欄がなくなり、自主宣言制度の宣言の有無の欄が加わる形です。

入札参加資格審査で経審の結果通知書を提出する場合、発注者側の様式や記載欄の対応もこれから切り替わっていきます。令和8年7月1日をまたぐ時期は、旧様式の通知書と新様式の通知書が混在しますので、提出先の指示をよく確認してください。

今回の改正で「今すぐやるべきこと」チェックリスト

まとめ

令和8年7月1日以降に提出する経営事項審査の申請では、次の3点が変わります。

  1. 社会保険加入の有無が審査項目から削除(確認書類も不要に。ただし技術職員の雇用確認書類は引き続き必要)
  2. 建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度の宣言の有無が追加(様式第7号。審査基準日が宣言日以降であることが必須)
  3. 建設機械にアスファルト・フィニッシャと不整地運搬車が追加(別表1。1台からでも加点、リースは残存1年7か月以上)

このうち、後から取り返しがつかないのは2番目です。決算日が近い会社ほど、判断を先送りしないでください。

手引きの記載は今後さらに更新される可能性がありますので、実際の申請にあたっては最新版と、所管の建設事務所の運用を必ずご確認ください。

当事務所では、福島県内の経営事項審査、決算変更届(事業年度終了届)、建設業許可申請、入札参加資格審査を専門に取り扱っております。「新様式で何が変わったのかわからない」「自主宣言をすべきか判断がつかない」「持っている機械が加点対象になるか見てほしい」「今期の経審で点数を上げる方法を知りたい」といったご相談も承っております。お気軽にお問い合わせください。

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